(3)青年前期(中学校)

○ 中学生になるこの時期は、思春期に入り、親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめるとともに、自意識と客観的事実との違いに悩み、様々な葛藤(かつとう)の中で、自らの生き方を模索しはじめる時期である。また、大人との関係よりも、友人関係に自らへの強い意味を見いだす。さらに、親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあり、思春期特有の課題が現れる。また、仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との交流に消極的な傾向も見られる。性意識が高まり、異性への興味関心も高まる時期でもある。

○ 現在の我が国においては、生徒指導に関する問題行動などが表出しやすいのが、思春期を迎えるこの時期の特徴であり、また、不登校の子どもの割合が大幅に増加する傾向や、さらには、青年期すべてに共通する引きこもりの増加といった傾向などが見られる。

○ これらを踏まえて、青年前期の子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。

  • 人間としての生き方を踏まえ、自らの個性や適性を探求する経験を通して、自己を見つめ、自らの課題と正面から向き合い、自己の在り方を思考
  • 社会の一員として他者と協力し、自立した生活を営む力の育成
  • 法やきまりの意義の理解や公徳心の自覚

(4)青年中期(高等学校)

○ 親の保護のもとから、社会へ参画し貢献する、自立した大人となるための最終的な移行時期である。思春期の混乱から脱しつつ、大人の社会を展望するようになり、大人の社会でどのように生きるのかという課題に対して、真剣に模索する時期である。

○ 現在、我が国では、この時期が、こうした大人社会の直前の準備時期であるにもかかわらず、自らの将来を真剣に考えることを放棄したり、目の前の楽しさだけを追い求める刹那主義的な傾向の若者が増加している。さらには、特定の仲間の集団の中では濃密な人間関係を持つが、集団の外の人に対しては無関心となり、さらには、社会や公共に対する意識・関心の低下といった指摘がある。

○ これらを踏まえて、青年中期の子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。

  • 人間としての在り方生き方を踏まえ、自らの個性・適性を伸ばしつつ、生き方について考え、主体的な選択と進路の決定
  • 他者の善意や支えへの感謝の気持ちとそれにこたえること
  • 社会の一員としての自覚を持った行動