2歳から3歳になると言葉も滑らかになり、ちょっとした会話も成り立つようになってきます。そして、自分で物事を考える力、思考力もしっかり身に付いてくる頃です。一人で出来る事も増えてくるので、出来た時には「出来たね」と沢山褒める事も大事です。

言葉の発達

たどたどしかった話し方も、ずいぶんと滑らかに喋ることが出来る様になり、名前も聞かれた時などは、自分で答えられるようになってくる頃です。「お散歩行こうか」「うん、お散歩、いく」など、ちょっとした会話も成り立つようになってくるので、周りの大人が一方的に話かけるというよりは、子どもの話を聞く機会も、どんどん増えてきます。少し長い会話の内容でも、最後まで聴いていられる力がついていきますので「ダメ」「ヤメナサイ」などの短い言葉だけでなく、「今日は、もう遅いから帰ろうね」など、きちんと理由を説明するように心がけましょう。この時期の子供たちは、今までに、お母さんや周りの人から沢山話しかけて貰って、心のタンクに大事にしまっておいた言葉が、一斉に飛び出す頃です。「真っ赤だね」「大きいね」と、形容詞を一つくっつけて返してるだけでも、言葉の世界はずいぶんと広がります。面白い言葉も生まれる時期ですので、記念に書き留めておくといいでしょう。

「どうして?」「これなあに?」

子どもが色々なことに興味を持ち始め、お父さん、お母さんに「どうして?」「これなあに?」と沢山質問するようになってきます。子どもたちは尋ねる事で、言葉の世界、知識をグングン広げていきますので、子どもの「なあに?」には、出来るだけ丁寧に答えてあげましょう。ケーキを見て「これなあに?」と聞かれたら、「ケーキよ」と一言で返すのではなく、「赤いイチゴがのってるね。甘くて美味しい食べ物で、ケーキって言うんだよ。おばあちゃんがくれたんだよ。」などと言葉のオマケをつけると、言葉の世界が広がり、その言葉のオマケから又新しい「なあに?」「なぜ?」につながっていくのです。子どもからの質問が、あまり長く続くようなら「なんでかな?〇〇ちゃんはどう思う?」と聞き返し、子どもに少し考える時間を与えてあげてもいいでしょう。

記憶力と思考力の発達

この時期の子どもは、自分の記憶を元に、喜んだり、泣いたり、次のリアクションが出てくるようになってきます。以前、注射をされた病院へ行く道をよく覚えていて、曲がり角に来た途端に、火がついたように泣き出したり、お母さんがいつものお出掛けショルダーを手にした途端、「あ!お出掛けだ」と玄関へ走っていったり、特に楽しかった事、怖かったことなど、印象が強い出来事は、よく覚えています。また、自分で物事を考える力、思考力もしっかり身に付いてくる頃です。ただし、時間の流れについては、だいぶ分かってきていますが、なんでも「きのう」になるのが、この時期の大きな特徴です。「きのう、おばあっちゃんが、ブーブーくれたの」おばあちゃんが来たのがずっと前でも、子どもが話す時に使う時間軸は「きのう」になってしまいます。この時期の子どもの時間軸は「現在(今)と過去(=きのう)」で構成されているのです。『きのう」よりも前の出来事を、子どもが話している時に、「それは、「おととい」だったよと無理やり訂正させる必要はありませんが、会話の中に「きのう」「おとつい」「明日、明後日」など、時を表す言葉を使っていくと、自然と時間の感覚とその言葉の感覚とその言葉が身に付いてきます。

数の認識

少しづつですが、数の認識が出来る様になってきます。まだ、大きな数は正しく認識できませんが、一つ、二つ、三つ、四つくらいまでは、区別できるようになってきます。数の認識は、無理に教え込むのではなく、遊びや生活の中を通して、体幹しながら覚えていく事が自然です。おままごとやお店屋さんごっこ、食事の時などに、「おみかん、二つくださいな」「イチゴは何個あるかなあ」などと会話しながら、子どもと一緒に数を数えたりするといいでしょう。そのうちに、言葉と数が一致して「おみかん二つくださいな」といえば、二つのみかんを正しく理解して、お母さんにみかんを二つ渡す事ができるようになってきます。

色の認識とこだわり

個人差はありますが、赤や黄色などはっきりした明るい色を好む子が多いようです。色の違いも理解出来るようになってくるので、積み木やボールなどを使って、色分け遊びもお勧めです。また、色へのこだわり「好きな色」が出てくるのも、この時期に多い事です。子どもがどんな色を好んで遊んでいるのかも、観察してみましょう。おもちゃや洋服など、お気に入りの色のものを買ってもらうと、子どもは相当喜びます。

「出来た!」を応援

一人で靴が履けたり、シャツやトレーナーが着られるようになってきます。これらのことは、大人から見たら小さなことですが、「できた!」という「達成感」を積み重ねていくことは、子どもにとって、とても大切なことです。この小さな「達成感」「成功体験」が、これから先、子どもが成長していく上で、色々なことに挑戦する時の、自信と頑張りにつながります。毎日の生活の中で、子どもの成長、発達の様子を観察しながら、少しづつハードルを上げていきましょう。これまで大人がしてあげていたことを、少しづつ子どもにやらせてみたり、トレーナーやティーシャツ、ボタンのない洋服を一人で着られるようになったら、パジャマなどに、ボタン付きのものを選んだりすれば、少しづつ子どもの出来ることが増えていきます。頑張ってチャレンジしている時には、口を出さずに、そっと見守ってあげて、出来た時に「出来たね!」と沢山褒めてあげましょう。

お箸にチャレンジ

スプーンやフォークを使って、一人でご飯を食べることが出来る様になったら、お箸を使ってみてもいいかもしれません。無理に使わせる必要はありませんが、お母さんやお父さんがお箸を使っているのを興味深く見ていたり、「かして!」とお母さんの箸で何かを食べたりすることがあったら、子どもも専用のお箸を用意して、少しづつお箸の練習を始めましょう。初めはお箸をフォークのようにして、食べ物を刺して口に運ぶ子も多いですが、少しづつ正しい持ち方を教えて、上手に出来た時には、沢山褒めてあげると、子どもはお箸を使うことが楽しくなります。食事の基本は、「体を作る」「栄養を摂る」ことはもちろん、「楽しく食べる」事も大切な事です。お箸の使い方、食べ方の指導、注意ばかりにならないように、気をつけましょう。お箸を使う時は、振り回したりすると危険ですので、お母さんや大人がしっかりサポートしましょう。

ウンチやおしっこを教える

今までは、オシッコやウンチがしたくなると、カーテンの隅などでもぞもぞしていた子も、自分から「ウンチ」「オシッコでた」と、段々言葉で伝えることが出来る様になってくる時期です。ただ、表現の方法は色々。おむつに出ているのが分かっても、「出てない」「違う」とわざと反対のことを言う子もいます。ウンチやオシッコが出る前に教えるようになる子も出てきますが、個人差が大きいので、無理せずその子のペースに合わせるようにしましょう。起きる時間、食事の時間、夜寝る時間など。生活のリズムを一定にするように心がけ、毎朝、食事の後にトイレに行くようにしたら、トイレでウンチするようになったと言う子どももいます。まだ日常のオムツは外れなくても、ウンチの時間が大体決まり、トイレでウンチするようになれば、お母さんも楽になります。また、生活のリズムをこの時期から心がけておくと、幼稚園に通う頃にとても楽です。トレーニングの前に、ぜひ生活リズムを整えましょう

筋力、体力

砂場遊びダムを作って遊んだり、2歳を過ぎると、手先も随分器用になってくるので、自分でお団子が作れるようになってきて、色々な工夫が見られてくる時期です。そんな時には、お砂場セットにバケツとシャベルに加えて小さなペットボトルを用意してあげましょう。子どもにとってバケツで水を運ぶのは難しいものですが、ペットボトルなら口が狭いので、あまり水を溢さなくても運ぶことができます。

お絵かき

これまでは「殴り書き」ばかりのお絵かきでしたが、一本線や丸が描けるようになってきます。丸といっても、おにぎりみたいな形、デコボコ型など様々ですが、線の始まりと終わりを意識してくっつけることが出来る様になります。これは、子どもの成長の証。始まりと終わりの線がくっついているものが紙に描かれると、背景とその丸は別世界のものになり、なんらかの意味を持つことが多くなってきます。簡単に言うと、自分で描いた丸に「これがお母さんで、これがワンワンで・・・」と、丸が人間になったり、動物になったりするのです。そして、描いた丸を使って、とっても楽しそうにお話ししてくれる子どもも沢山います。そんな時には、ゆっくりと絵を見ながら、お話を聞いてあげてください。まだ、自分の気持ちを言葉で上手に表現できない子どもたちは、お絵かきの中に、自分の気持ちを表す場合があります。ぜひ、子どもが何を描いたのか、聞いてみてください。この時期の子どもは、集中すると、1日に何十枚と描く子どももいます。子どもたちが、自由にお絵かき出来るよう、紙とフェルトペンやクレヨンなど、描きやすいものを用意してあげましょう。

切ったり、貼ったり

最近は、生活が便利になったことで、指先を動かす機会が減っていると言われています。指先を上手に動かす事は、子どもの発育にとても大事なことです。この時期の子どもたちは、道具を使ったり、細かい作業をすることに興味があるので、遊びに取り入れてみましょう。指先を使うと、集中力も自然についてきます。貼ったり、剥がせたり出来るシール遊び、紐通し遊び用の大きなビーズを使ってネックレスやベルト作り、色紙をちぎって画用紙に貼るなど、色々工夫して遊んでみましょう。ハサミもそろそろ使えるようになってくるころです。ハサミを使う時には、まずハサミの使い方・注意点などを説明してからハサミを使うようにしましょう。ハサミは家にあるものを使うのではなく、子どもの手の大きさに合ったものを選ぶことをお勧めします。子どもが一人でハサミを使うのはまだまだ危ない道具です。ハサミを使う時には目を離さないようにし、怪我には十分注意してください。

絵本

絵本を読んであげることは、お話の世界を一緒に楽しむだけでなく、子どもが親の温もりを感じ、ほっと安心するひと時でもあります。子どもが絵本に集中するのは、せいぜい10分か15分。子どもが「絵本読んで」と言ってもきた時は、食事の支度や掃除の手を止め、ぜひ絵本を読んであげましょう。この時期、同じ絵本を「もう一回、もう一回」と何度もせがむことがよくあります。同じ本でも、子どもが読んで欲しいとリクエストしているなら、子どもが納得するまで何度でも読んであげましょう。絵本を読んであげる時間に特に決まりはありません。が寝るまえに絵本を読むようにしたら、寝る習慣が出来ましたというお母さんがいらっしゃいました。毎日、同じことを繰り返すことで、習慣づけになったそうです。絵本の読み聞かせは、いつからスタートしても遅いということはありません。これまで、あまり絵本を読まれなかった方も、ぜひ、今日からスタートしてみてください。